本講演ではブレイド状曲面とチャートに関する基礎事項について述べた後、ブレイド状曲面を用いた曲面絡み目の表示であるプラット表示について得られた結果を紹介する。 時間が許せば、中村伊南沙氏(佐賀大学)との共同研究によって導入したブレイド状曲面の一般化について紹介する。
本講演では、Conway-Coxeterフリーズ、祖先三角形、Stern-Brocot木と有理絡み目の間の関係を概説したのち、 特に、有理絡み目のConway-Coxeterフリーズを用いた特徴づけと、Morier-GenoudとOvsienko により導入された q-Farey和の新しい計算方法の紹介およびその応用について話す予定です。 本講演の内容は城西大学の小木曽岳義先生との共同研究を含みます。
参考文献
本セミナーではシャドウの複雑度およびシャドウとこれら諸概念との関係に主眼を置きながら、下記のプランで講演を行う。
本講演の内容は, 石川昌治氏 (慶應義塾大学), 古谷凌雅氏 (広島大学), Bruno Martelli 氏 (ピサ大学) との共同研究を含む。
まず, cs_K について次の5つの基本的な特徴があります.
また, Im cs_Kについて, twisted spun knotという2-knotのクラスについて, いくつかの計算を行いました. Torus knot, Montesinos knotのtwisted spun knotの場合には, Im cs_Kは, 手で計算できます.
主定理は, 『2-knot Kに対して, cs_Kを通して,
(あるクラスの3次元多様体がSeifert hypersurfaceとして存在すること)と,
(結び目補空間のSU(2)既約表現の存在)を結びつける』 というものです.
例えば, -Σ(2,3,6k-1)をSeifert hypersurfaceとして持つ2-knot Kに対して
G(K)は既約なSU(2)表現を持つ, ということが示せます.
(これは, Im cs_Kが, 1/24(6k-1) を含む, という定理の系として示されます)
Freedmanの結果により, -Σ(2,3,6k-1)は, TOPの圏では閉多様体のまま,
locally flatにS^4に埋め込まれることが知られています.
これにより, TOPの圏では, -Σ(2,3,6k-1)はunknotのSeifert hypersurfaceとなります.
すなわち, TOPの圏でこの主定理は偽であり,
2-knotの滑らかな構造を反映した繊細な定理であることがわかります. 主定理の証明は,
『フィルター付されたインスタントンFloerホモロジーにおけるLefschetzの不動点定理の類似』
を示すことによって行われます. この講演では, cs_Kの紹介, その応用に着目し,
話をさせていただきたいと思います.
(今回の講演の主な内容は, プレプリント, arXiv:1910.02234 に含まれています)
The set of CP^1-structures on every compact Riemann surface property embeds into the character variety onto a half-dimensional complex analytic submanifold. In this lecture, we first recall some basics of CP^1-structures, including a cut-and-paste operation, called grafting. Then discuss some further properties of the submanifolds of the character variety.
本講演では、1つ穴あき有向曲面の基本群上の、曲面の有理数係数1次元ホモロジー群に値をとるある2変数関数が、 Dehn twistのMagnus展開先での作用の分析から得られることを紹介する。 この関数の値は純粋に代数的に、かつ初等的に算出されることを具体例を交えて示し、 入力値が2つの単純閉曲線のhomotopy classであるとき2曲線の幾何的交差数に関する情報を持つこと、 入力値が1つのhomotopy classであるときには、そのclassが単純曲線を含むかどうかの判定に利用できることを説明する。
安定交換子長の理論は, 群の有界コホモロジーや幾何学的群論などに 密接に関係しており, 近年活発に研究されている研究対象である. 本講演では, 交換子長・安定交換子長の幾何学的な解釈を説明し, 写像類群における安定交換子長の結果を説明したい. 特に, Dehn twistの安定交換子長について得られた結果を紹介する. 本講演の内容は, 九州大学の吉原和也氏との共同研究に基づく.
本講演では,シャドーによって表される 3 次元多様体に対し, そのシャドーを Stein分解の一部とみなすことで,多様体の安定写像を構成する. 帰結として,3 次元多様体が許容する安定写像の特異ファイバーの (重み付き)総数の最小数と,シャドーの頂点の最小数が一致することが分かり, これによってこの数と多様体のGromov ノルムが関連付られることを説明する.
本講演の内容は石川昌治氏(東北大学)との共同研究に基づく.
Assembled DNA segments are modeled by a certain type of paths in graphs called Hamiltonian polygonal paths, and the recombination is modeled by smoothings of vertices along the paths. The minimum number of such paths for a given graph is called the assembly number. Findings and properties of the assembly number will be presented.
The genus range of a rigid vertex graph is the set of values of genera over all surfaces into which the given graph is embedded cellularly (where the complement consists of open disks), preserving the specified cyclic order of edges at each vertex. The genus ranges of four-valent rigid vertex graphs are studied, when the surfaces are orientable. We investigate which sets of integers can be realized as genus ranges. Computer calculations are presented, which play key roles in some results. Similar genus ranges for chord diagrams are also studied. Unsolved problems and conjectures are discussed.
そこで、曲面結び目の新たな構成法として、自明な球面を自明なトーラスにするとい う方法が考えられる。すなわち、自明なトーラスの単純分岐被覆の形をしている曲面 結び目というものを考えることができる。このような曲面結び目をトーラス被覆結び 目 (torus-covering link)と呼ぶことにする。2次元結び目 (球面の埋め込みである 曲面結び目)は、種数がゼロなのでトーラス被覆結び目には含まれない。
周期性のある1次元結び目を、円周に沿って1周する間に軸に関して有理数回回転し て構成される曲面結び目をシンメトリースパントーラスという。構成法から、トーラ ス被覆結び目はシンメトリースパントーラスを含む。シンメトリースパントーラスは その結び目群が1次元の結び目群であることが知られている。
この講演ではまずトーラス被覆結び目を定義し、次に結び目群が1次元結び目群でな い、トーラス型のトーラス被覆結び目の例を紹介する。これは上記の事実から、シン メトリースパントーラスでないトーラス型のトーラス被覆結び目の例である。
非負整数 k に対して、結び目の k 番目 K のreduced colored Jones polynomial は, 1次元表現からk+1次元表現までに対応するcolored Jones polynomialのある一次結合であ る。 この不変量に対して、DasbachとLinと同様の方法で、形式的べき級数が得られるかどうか を考える。コンピュータを使った具体例の計算によると、 交代結び目と正結び目の場合には、そのような形式的べき級数が得られると予想される。 特に、正結び目の場合には、得られる形式的べき級数のすべての係数が非負であるという 著しい性質も予想される。
For any compact orientable 3-manifold with non-empty boundary, add a cone to a point from one of its boundary components. We prove that every finitely presentable group arises as the fundamental group of such a space, and define the genus of the group as the smallest possible genus of coned boundary component giving a space with this fundamental group.
Fundamental groups of orientable 3-manifolds are exactly the groups of genus 0, and are theoretically now understood due to Perelman's results. Our work raises questions concerning the applicability of 3-manifold techniques to understanding finitely presented groups, and to decidability questions for calculating the genus of a group, and for determining whether or not two groups of the same genus are isomorphic.
As a corollary we show that there exists a constant K, so that if M is a generic hyperbolic
3-manifold, then any Heegaard splitting of genus K Vol(M) + 26 has distance at most 2. The exact
meaning of the term "generic" will be explained in the talk.