関西低次元トポロジー若手セミナー 2004年度
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last updated, 2005/6/8

3/25(金)
13:30 -- 17:30
畠中 英里 (東京工業大学)
3次元多様体の covering 表示と、state-sum invariant
Abstract:
位相幾何におけるひとつの大きな問題として、「不変量 (invariant) を用いて集合を分類せよ」というものがあります。ここで私たちが対象とするのは、knot の集合や、その次元をひとつ上げたものであ る surface-knot の集合、また3次元多様体の集合などです。不変量のひとつのかたちとして、state-sum invariant と呼ばれる構成法があります。
本講演では、まず knot と surface-knot の state-sum invariant である quandle cocycle invariant を紹介し、これを使って surface-knot の triple point 数の評価を与えます。
また、3次元多様体の covering 表示という、これまであまり取り上げられてこなかった表示方法を紹介します。さらに quandle cocycle invariant にならって、covering 表示を使っ て得られる3次元多様体の state-sum invariant を構成することを考えます。そのような不変量の例として、量子不変量と呼ばれる、 Dijkgraaf-Witten invariant を再構成します。

3/24(木)
13:30 -- 17:30
浅岡 正幸 (京都大学)
「3次元射影的アノソフ流の剛性」
Abstract:
3次元多様体上の射影的アノソフ流は,アノソフ流の一般化として力学系理論の立場から見て面白いだけではなく,葉層構造や接触構造の幾何学とも関連する対象です.本講演では射影的アノソフ流の定義や具体例,こうしたものを扱う背景などから話を始め,葉層理論との関係から特に重要な「正則射影的アノソフ流」と呼ばれるクラスが持つ剛性 --古典的な例でつきること-- について話をします. また,時間があればその他の話題(連続変形で不変な量,半正則射影的アノソフ流の剛性など)にも触れたいと思います.
なお,参考文献として,
三松佳彦, 3次元接触構造のトポロジー, 数学メモアール 1, 日本数学会, 2001.
の第5章をあげておきます.
レジュメ

2/26(土) 13:00 - 18:00
金 英子 (京都大学)
「Examples of pseudo-Anosov braids with small dilatations and forcing relation on braids」
(joint work with Eriko Hironaka)
場所:奈良女子大学 C棟4階セミナー室
Abstract:
組みひもが pseudo-Anosov とは, その組みひもが誘導する同相写像のイソトピー類が pseudo-Asosov map を含むこととする。組みひもが pseudo-Anosov であるとき、unstable foliation の伸び率 >1 は、組みひもの不変量となる。固定された本数の pseudo-Anosov braid 全体の中で、最も小さい dilatation を実現するような組みひもについて考える。本数が 3 については Matsuoka が、4 については Los et al によって決定されているが、5 以上の本数については未解決である。
講演では、2つの変数をもつ (m+n+1)-組みひも s_{mn} を与え、それらが pseudo-Anosovである事を実際に train track を与えることによって示す。train track の transition matrix から s_{mn} の dilatation を求める公式を求め、dilatation の性質や、least dilatation の上からの評価式を与えたい。時間があれば、組みひも s_{mn} は Smale-horseshoe map の周期軌道として実現できる事を述べ、dilatation の性質と horseshoe braid の forcing relation との関連について言及したい。

1/18(火)
13:30 -- 15:00
森内 博正 (大阪市立大学)
「spatial graphとそのinvariantについて. II」
Abstract:
spatial graph, 特に trivalent vertex を持つ theta-curve や handcuff graph を分類する上では, その invariant が重要となります. invariant については前回紹介しましたので, 今回は7交点までの theta-curve の分類と handcuff graph の分類を行ないます.
レジュメ
レジュメ(前回との統合版)
15:30 -- 17:30
新國 亮 (早稲田大学)
「結び目成分のバンド和による空間手錠グラフの不変量について」
Abstract:
空間手錠グラフの不変量を, 結び目成分のバンド和を用いて構成します. この不変量は, 極小非自明性の判定などに有用です. 本講演では, 不変量の構成法を説明し, 不変性を証明した後, 具体的な応用例として, デルタ辺ホモトピー(自己デルタ同値)の下で非自明なスライス空間手錠グラフや, 境界空間手錠グラフが存在することを示します.
レジュメ(2005.6.1改訂)

11/20(土)
13:00-14:30
村井 紘子 (奈良女子大学)
「Depths of the foliations on 3-manifolds each of which admits exactly one depth 0 leaf」
Abstract:
前回は主定理、およびアイディアのもとになったCantwell-Conlonの結果を紹介した。これに引き続き、今回は主定理の証明の概略を説明する。
15:00ー16:30
森内 博正 (大阪市立大学)
「spatial graphとそのinvariantについて」
Abstract:
spatial graph, 特に trivalent vertex を持つ theta-curve や handcuff graph を分類する上では, その invariant が重要となります. invariant をいくつか紹介した後, 7交点までの theta-curve の分類と 6交点までの handcuff graph の分類を行ないます.
レジュメ

10/19(火)
13:00-15:00
牛島 顕(金沢大学、University of Warwick)
「双曲多様体の基本多面体が「一般的」とは?」
Abstract:
双曲多様体では、その双曲距離を使って多様体を多面体 (fundamental polyhedron)に切り開く事が出来ますが、 取り得る組み合わせ構造(多面体の形)には色々なものが有り得ます。 その中でどの様な形が(局所的に)一般的かを三次元の場合に対して考えた、 T. Jorgensen と A. Marden による1986年の論文 "Generic fundamental polyhedra for Kleinian groups" を解説します。
レジュメ
15:30-17:30
村井 紘子 (奈良女子大学)
「Depths of the foliations on 3-manifolds each of which admits exactly one depth 0 leaf」
Abstract:
Gabaiの結び目補空間に対するfoliationの存在定理に基づき, Cantwell-Conlonは結び目のdepthと呼ばれる概念を定義した. ここでは考察されるfoliationが持つdepth 0(=compact) leavesの数には制限がないが, この定義において“depth 0 leafは1枚だけ”という制限をつけた場合とそのような制限がない場合とで差異があるのか, という問題意識の下,これに関連した次のような結果を得た. Kをnon-cable knot の0-twisted doubleとする. 三次元球面からKに沿った0-surgeryをして得られる多様体のn次巡回被覆空間について, depth 0 leafを1枚しか持たないという条件下でのfoliationのdepthの最小値は1+[n/2]以上となることを示した. これとGabaiの定理より,この条件を付けた場合と外した場合とではfoliationのdepthの最小値に差があり, 更にこの差は(nを取り替えることにより)いくらでも大きくできることがわかる. 今回はこの結果について報告し,証明の概略を述べる.

9/13(月) 13:00-
中村拓司(大阪市立大学)
「Braidzel surfaces for knots and Alexander polynomials」
場所:大阪産業大学 14号館2階ミーティングルーム
Abstract:
結び目のbraidzel surfaceとはRudolphによってpretzel surface の一般化として導入されたSeifert surfaceの一種で,2枚のdisk をbraid状に絡んだbandたちで繋いだものです。今回は,すべての結び目がこのbraidzel surfaceを持つことを示し, またその応用として与えられたAlexander多項式を持つ結び目をbraidzel surfaceを通して構成します.
図の一部

7/20(火) 15:00-
田村誠(大阪産業大学)
「Picantinの論文 "Automatic structures for torus link groups" (JKTR vol.12 (2003)) の紹介」
場所:大阪大学 北ブロックの1階のセミナー室
Abstract:
この論文では Torus link 群は Garside 群であることを示しており、 結果としてオートマティック群であることが導かれます。Garside 群が オートマティック群であることは別の論文の結果に依拠しています。 後者の部分が説明できるかは未定ですが、オートマティック群と Garside 群の感じだけは伝わるように話したいと思います。

5/31(月) 15:30-18:30
門上晃久(大阪市立大学)
「Reidemeister torsion and lens surgeries on $(-2, m, n)$-pretzel knots」
(山田裕一氏との共同研究)
Abstract:
Reidemeister torsionを用いて lens surgeryを調べる際、knotのAlexander polynomial が重要な役割を演じる。$(-2, m, n)$-pretzel knot のAlexander polynomialでそのことを具体的に示す。
レジュメ (目次)
コメント: 本レジュメは2004年11月24日に大阪大学のセミナーで話した内容を 元にしていますが、KLDTFSでの講演で話した内容を含んでいるため(4章)、 こちらで公開させていただくことにしました。 またp48の図で、pdf-fileに変換の際、fontが消えてしまった所があります。 イプシロンや+,-なのですが、その点ご了承ください。(門上)

5/10(月) 15:30-18:30
市原一裕(大阪産業大学)
「Bounds on distances between boundary slopes」
Abstract:
境界がトーラスの3次元多様体内の本質的曲面を考え、 その境界スロープの距離の評価を考える.
いくつかの知られている結果の紹介のあと、 最近の Culler-Shalen のプレプリント Knots with only two strict essential surfaces 、 及び、市原の最近得られた結果を紹介する.
レジュメ


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文責:市原 一裕(大阪産業大学)